回復を早めるために

男性

断酒と栄養補給を心がける

うつ病の治療をスタートさせるとき、一つ大事になるのがアルコールの問題です。もし、飲酒の習慣があるのなら、それをやめることで治療のスタートラインに立つことができます。受診をした時点で、飲酒の目的が楽しいからではなく、眠れない、いやなことを忘れられるからとなっていたならなおさらです。アルコールというのは、大脳に考える機能を停止させます。不安や緊張を和らげて多幸感をもたらしてくれるので、うつ病の人がアルコールを飲むと、症状が一時的に緩和されて楽になります。そのため、飲酒頻度が増えたり、量が増えてしまいがちです。ですから、治療のスタート前に、アルコールを断っておく必要があります。また、うつ病の治療薬とアルコールの飲み合わせが悪いというのも一つの理由です。抗うつ剤とともに治療では抗不安薬や睡眠剤が処方されることも多いです。これは、アルコールと同じ部分に作用するため、治療薬の効果が増強される危険性があります。そして、睡眠の質を悪くするため、早期覚醒を起こしやすくなります。こうした点からも、うつ病の治療中は、アルコールを断つ環境づくりが必要になります。精神科医は断酒に関しても相談に乗ってくれますので、アルコールを飲む習慣がある人は治療前に申告しておくことも大事です。うつ病が発症する過程で、睡眠障害と並んで多く見られる症状が食欲の低下です。食欲の低下は、うつ病が発症していく中での交感神経の興奮に基づく症状です。これは、体の中で心の活動性が無理やり高まるメカニズムになっていることを示しています。そのため、休息と栄養補給を司る活動が抑制され、食欲の低下が起きることになります。そして、食欲が低下すると、脳の活動に必須なブドウ糖が供給されなくなるため、余計に悪化してしまうわけです。質の良い休息ができ、十分な睡眠が治療によりとれる状態になってくると、食欲も回復してきます。最初に食べたくなるのは、甘い食べ物です。味覚が鈍っているため、味がはっきりと認識できるものが食べやすいというものもありますが、体がブドウ糖を欲しているというのもあります。回復当初は、栄養バランスをあまり気にせずに、好きなものを食べることが大事です。体の要求に従うことが大切で、十分なブドウ糖が脳に供給されるようになると、情緒も安定してきます。さらに、数週間経過して、消化機能が回復してくると肉を食べたくなる人が多いです。こちらは、セロトニンやノルアドレナリンの生成に必要な栄養素が含まれているため、回復期に肉が食べたいというのも人間の本能とされています。このように、弱っていた脳の機能を回復させるために、治療中の栄養補給は欠かせません。